バス水没事故 幸せをくれた10時間

バス水没事故 幸せをくれた10時間  中島明子

2004年 台風23号によって引き起こされた水害によって、観光バスが水没し乗客37名がバスの屋根に
取り残された事件がありましたが、その乗客の一人である著者がその時の状況を主観を交えながら克明に綴った
ノンフィクション的な内容でした。

なのですがー、すんごい泣きました(T_T)
絶望の中に置かれた乗客や、その周りでも取り残されていた人たちの、極限状況の中でも諦めないで懸命に皆で
生き残ろうと励まし合い助け合った、たった一晩の出来事がこれほど濃密に人の善意と献身的な姿を浮き彫りに
するものかと、涙が止まりませんでした。
著者の主観が入っている感はありますが、それでもあの時あの場で必死に闘っていた人たちの思いが本という形
で残ったのは、とても良かったと思います。
というかありがとうございました。
水害の中取り残された人たちを励ますべく水没した自宅の二階から懐中電灯で励ましていた人
救助のために危険を顧みずボートで接近を試みた人たち
様々な人たちの被災者に対するアプローチが折れそうになる心をなんとか踏みとどまらせて
また、乗客同士で励まし合ったかけ声や歌が、周りの被災者の心の支えとなる。
そんな絶望と不安と恐怖の中で交わされた人としての在り方とも言うべきなにかが伝わってきた時
思い浮かんだのは感謝という言葉でした。
人を信じられなくなったり、自分はもう駄目だと思っているような人は、ちょっと目先を変えるつもりで手にとってみられては如何でしょうか?